オモヒノタケ(since 2004) 社長のブログ

焼酎と高級車の共通点

Ippeichan (2007年9月14日 22:07)  |   |  コメント(0)  |  トラックバック(0)

きょう、とある焼酎メーカーの営業担当者と、お昼を一緒にした。
彼は嘆いていました。


自社の製品のプロモーションの仕方がおかしい…と。
せっかくよいものを作っているのですが、この度某マス・メディアを
使った流通キャンペーンに乗っかることになったそうだ。


売れる焼酎とは.jpg


販売促進を行う場所はスーパーマーケット。
スーパーに生中継が出て「この焼酎はおいしいよ!買って!」と
言うわけだ。放送に載って、しかもスーパーにいる人に対して
よい宣伝になりますよ!という提案だ。


一瞬聴くと、よさそうなキャンペーンのようだ。
でも。
僕はこんなことをすると、ますます商品価値を落とすような気がするのです。


なんてバカな選択肢を選んだんだろう?と絶句しました。
というか、そもそも誰を対象と捉えてキャンペーンを張るのか?を
根本的に考えていないとしか思えないのです。
それはこの営業担当者の方の思いと同じです。



焼酎メーカーの方がよく間違えることがあります。
それは
「焼酎とは買う人・注文する人と飲む人とに乖離が発生する特徴がある」ことです。


わかりにくいでしょうか?


(例)
○スーパーの場合
 購入者は「オクサマ」です。飲むのは「旦那様」です。
 オクサマの購入可否のポイントは「価格」です。銘柄は2番目です。
 こういう顧客は「お酒の銘柄なんてどうでもいい」と思っている人か
 そもそも所得の都合で高いお酒を変えない人です。

 もしもご自身も焼酎好きでダンナと一緒に飲むような、銘柄こだわり派は
 そもそもスーパーで焼酎を絶対に買いません。


 ということは「スーパーで焼酎のキャンペーン」をすることは
 「うちの酒は安酒ですよー。」と言うことです。それが狙いならよい。
 じゃないなら、やるだけブランド価値を落とすということです。


○飲食店で飲む場合
 通常はキープで1本注文するでしょう。よくあるシチュエーションは接待。
 2対2で飲んでるテーブルを想像して下さい。


 注文者は下座の若手。上司ではない。
(接待者) 「何にいたしましょう?焼酎は? お好みございますか?」
(お客様) 「そうねぇ。何かお勧めあるの?」


接待者が焼酎に明るい人間ならよいが、まぁそんなことはないでしょう。
(接待者)「芋よろしいでしょうか?」
(お客様)「あぁ、芋いいよ。」


知識がない場合、危険を冒したくないので「定番」を注文します。
「定番」を選ぶとき、人は「~で」と言います。「~が」とは言いません。


焼酎を顧客に浸透させ、売る場合には、この定番のスタンダードに
加えるような戦略を取るか、新しい選択肢を薦めてくれるナビゲーターを
作って浸透させる戦略を取るか、しかありません。


定番のスタンダードに加えるのは、多額のお金と時間がかかります。
「第一想起」をさせるのですから。「第一想起」とは、○○といえば…の
後に出てくるブランド名になるかどうか?の勝負。


携帯といえば?高級ブランドと言えば?巨乳タレントと言えば?
消費者が持つこれら価値観を塗り替えるのは至難の業です。


だからこそナビゲーターの存在が必要で、ナビゲーションで販促するためには
自社商品でどんな駆け引き・会話が、関係者同士の間で起こるのか?を
よーく想像しなきゃいかんのです。


これはAという高級車を利用する会社に、Bを買わせようとするときと同じです。
なぜなら、この高級車を「買う人」と「運転する人」と「乗る人」が異なるからです。


「買う人」は総務部長か秘書のトップ?!
やはりこの人も「定番」を買います。もっと言えば「前回を踏襲したもの」を
買います。つまり「同じもの」です。冒険する意味がないからです。


ここでこんな超保守的な人の心を変えるには、Bの利点として、
「購入者」や「運転者」の利点を訴えても意味がありません。


後ろの席に座る社長さんが喜ぶ、あるいはゲストを横に乗せたとき
自慢しやすい、会話を発生させやすい…そういう車なら一考の価値があるのです。

うまくいけば、最後に社長さんが総務部長に向かって…
「あー、○○君 いい車じゃないか! 君が選んだのかね?」
「あ、社長、そのとおりでありますm(__)m」

「ほう、いいセンスをしているじゃないか。助かったよ!」 なんてね。



とまぁこんな感じで。改めてまとめますと。

焼酎メーカーの場合、プロモーションが下手な会社は
えてして、エンドユーザーがどのように焼酎の銘柄を誰と選び、新しいものを
飲むときに、何を話しそこで何が起こって飲むのか?
という「シチュエーション」の想像力が全くないのです。


悲しいですね。


僕は焼酎が死ぬほど好きですが、そういうエンドユーザーがどのようにその酒を
たしなんでいるのかを想像していない蔵元の酒は、あまり飲みたくないものです。


「うまいもん作っときゃいいんだろ」っていう思いは製品に出ます。

お酒は人間関係構築の潤滑油としての役割が非常に大きい、太古からある
大事な食文化です。その人間関係構築に貢献してきている理由は、そこに
会話が発生するからでしょう。


自分が作るお酒を通じ、たしなむお客様方がどのような会話を起こすか?を
想像できないということは、単なる「アルコール」を作っているだけなのでしょう。



僕はきょうその会社が作ったお酒を飲みながら、このブログを書いています。
きょうお会いした営業マンの無念さを、彼と会話しているつもりで、お酒を
ちびちび飲みながら考えています。


でもこの焼酎は本当においしいです。悲しいですけど。

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